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プロジェクト概要

 本演習は、東海・東南海・南海連動地震の被害想定、およびそれに対する備えの現状について学習しつつ、実際に現地に赴いて状況を調べることで、巨大地震に対する総合的な備えの重要性を体得し、従前の社会基盤の枠組みを超えた広い視野から、多分野の知見を融合させて、事前復興型の都市計画・社会基盤計画の提案を行うものである。 

 具体的には、文献収集、現地視察、現地調査の事前準備と結果解析、及び様々な教員や専門家との議論等を通じて、地震動や津波に伴う被災想定、地理的特性を踏まえた社会基盤(生活基盤、生業基盤、安全基盤)の現状評価と今後の対策提案、事前復興を想定した都市計画と社会基盤計画のコンセプト立案を行う。 

 また、こうした一連の演習を通して、研究の基本となる、問題設定→仮説の立案→仮説の検証という一連のプロセスを学ぶと共に、地形図の読図能力や文献調査能力、現地調査の計画立案・遂行能力、議論及びプレゼンテーション能力を身につける。本演習の成果は、国土交通省や静岡県といった行政から地域住民まで、毎年定期的に報告しつつ、東海・東南海・南海地震のための基礎データとしてストックしてゆく。

課題(1) 都市計画と社会基盤設計の基礎を修得し,都市地域の分析とその表現を行う

 本課題では、事前復興計画を考えるにあたって,都市計画および社会基盤設計の基礎として,まず設計基礎となる図学について,a)レイアウトの目的,b)平面図・立面図・断面図の配置の原則,c)方位・スケール,d)図面の描き方を修得する(4 月).次に災害リスクを有する都市空間の分析方法について,a)路地や建物,公共空間から構成される都市空間の形,b)デザインサーベイの方法,c)建物の塗り分け,d)要素の分布とプロット,e)領域の可視化,f)空間構造の分析,g)地形分析,h)パターンランゲージ,i)空間の歴史,j)敷地割の分析,k)流動の記述と分析,l)添景・シークエンスの分析を修得する(5 月).

課題(2) 現地調査計画の立案に基づいて調査を実施し,都市空間の問題・特徴を把握する

 現地調査見学会を 5 月に実施する.班ごとに調査テーマを設定し,具体的な調査計画を立案した上で,中心市街地や郊外の状況と,社会基盤の現状調査を実施する.対象敷地とする静清地域の基本特性については静岡市の都市計画課担当者と静岡県担当者から a)災害想定,b)事前復興計画,c)都市計画マスタープランについて事前説明を頂き,将来災害シナリオを想定した上で静清都市圏の分析結果について発表する(5月発表).

次に,具体的な都市計画の立案方法について,a)人口予測,b)土地利用分析,c)地理分析,d)都市施設分析,e)災害分析,f)交通分析を修得する(6 月).これらの基礎に基づいた都市計画および社会基盤計画の事例について,a)渋谷駅の基本計画,b)福井のアーバンデザイン,c)陸前高田の復興計画などを中心に学ぶ(6月).修得した高度な分析結果をもとに事前復興を考慮した都市計画のコンセプトを班ごとに議論し,その成果をまとめる(7 月発表).以上の内容を発表した後、発表時の議論を踏まえて班でレポートにまとめる。本課題を通して、問題設定とその解決方法の提案を行い、それを人に伝えるプレゼンテーションの練習をする。また、グループ討議と作業計画の立案・管理を通じてマネジメント能力の涵養を図る.

課題(3) 事前復興を考慮した都市計画コンセプトの立案

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